水産業の現場で出る大量のホタテ殻を、資源として再び活かす取り組みが進んでいます。この取り組みは、環境への負担を減らしながら、地域の新しい産業や雇用を生み出す「循環型ブルーカーボンビジネスモデル」の構築を目指すものです。
水産加工工場から排出されたホタテ貝殻を効率よく集め、独自の技術でパウダー状に粉砕・精製します。これまで産業廃棄物として処理されることが多かった貝殻を再利用することで、廃棄コストや環境負荷を減らす狙いがあります。できあがったホタテパウダーは、建築資材の添加剤やバイオプラスチックの原料として使われるほか、海の環境を豊かにする取り組みにもつながっています。ホタテ殻をもとにした人工魚礁が開発され、海中に設置されると、そこに海藻が根づき成長します。海藻は二酸化炭素を吸収・固定する働きを持ち、この「ブルーカーボン効果」をカーボンクレジットとして活用する構想も進んでいます。
ホタテ貝殻の処理問題は、北海道や東北などで長年の課題とされてきました。今回のように、廃棄物を資源として循環させ、脱炭素社会の実現にも貢献する取り組みは、海と地域の未来をつなぐ新しいモデルとして広く評価されています。
貝殻の再利用をきっかけに地域と海の新しい関係が、水産業のこれからにどう影響するのか注目です。
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